美しい琥珀色をした蒸留酒のウイスキーとブランデーですが、両者の違いがわかりますか?見た目もよく似ているため、案外説明できないという人は多いかもしれませんね。実は、両者はそもそも原材料が異なるお酒なのです。
こちらの記事では、ウイスキーとブランデーの特徴や種類、また、両者の違いやおすすめの飲み方などについて解説します。こちらの記事でご紹介する内容は、アルコールを含む飲料に触れています。未成年者の飲酒は法律で禁止されています。
ウイスキーとは?ブランデーとは?
ウイスキーとブランデーには、それぞれどんな特徴があるのでしょうか。
ウイスキーとは?
「ウイスキー」とは、大麦やライ麦、トウモロコシなどの穀物を原料にして作られる蒸留酒です。穀物のでんぷんをアルコール発酵させて作る蒸留酒は、銅製の蒸留器で蒸留を繰り返しアルコール度数60〜70度くらいまで濃縮されます。
アルコールを濃縮することで揮発性の高い香り成分も抽出されるのが特徴です。蒸留が終わったウイスキーは、樽の中で3〜10年以上熟成されます。熟成後、加水してアルコール度数を40〜45度程度に調整して出荷されます。
ブランデーとは?
「ブランデー」とは、主に酸味が強い白ぶどうから作られるワインを蒸留したものです。白ぶどう以外にも、リンゴやさくらんぼなどを原料にしたものもあります。
ブランデーも樽の中で3年〜数十年の間熟成させ、貯蔵している間に色や味が変化してまろやかなブランデーが生まれます。ブランデーのアルコール度数はウイスキーと同じくらいの37〜50度程度です。
ウイスキーの種類
ここでは、ウイスキーの種類について見ていきましょう。
スコッチ
「スコッチウイスキー」は、イギリスのスコットランド発祥のお酒です。使用する原料により細かく分類されているのが特徴で、大麦のみを使用したものを「モルト・ウイスキー」、ライ麦や小麦などを使用したものを「グレーン・ウイスキー」と呼びます。
製造の条件は法律によって設定されており、それをクリアしたもののみを「スコッチウイスキー」と呼ぶことができます。
バーボン
「バーボンウイスキー」とは、トウモロコシを原料にして作られるウイスキーです。正確には、原料の51%以上80%以未満をトウモロコシが占め、醸造と蒸留後に内側を炎で焦がした新品のオーク樽で2年以上熟成させたものという定義があります。
「バーボン」の名前の由来は、ケンタッキー州バーボント郡で初めて製造されたことによります。
ブランデーの種類
続いてブランデーの種類について見ていきましょう。
コニャック
「コニャック」とは、フランス中西部の町コニャック周辺で製造されるブランデーのことを指します。コニャック地方で栽培されるぶどうは酸味が強く、ブランデー作りに適しているといわれています。
まずは白ぶどうを使ってワインを製造し、ワインのおりを加えて濁ったまま蒸留するのが特徴です。専用のオーク樽で熟成されたコニャックは、豊かな香りと風味が魅力のブランデーです。
カルヴァドス
「カルヴァドス」とはリンゴを原料に作られる、フランスノルマンディー地方発祥のブランデーです。まずは、収穫したリンゴを絞って発酵させシードルを作り、その後シードルを蒸留してオーク樽で熟成させます。リンゴの香りはとても繊細なので、あえて新樽は使わずに古樽を使うのが特徴です。
ウイスキーとブランデーの違い
蒸留酒であるウイスキーとブランデーは、どちらも樽で熟成させて作られ、アルコール度数もほとんど同じです。ウイスキーは大麦などの穀物を原料にする一方、ブランデーは主に白ぶどうを原料とする違いがあります。
また、ウイスキーは味そのものを楽しむお酒ですが、ブランデーは香りを楽しむものとされています。
ウイスキー・ブランデーの飲み方
ウイスキー・ブランデーのどちらも、グラスに注ぐだけのシンプルな「ストレート」がおすすめです。蒸留酒ならではの芳醇な香りを堪能するにはストレートが一番でしょう。
ストレートで飲む場合、グラスに一度に注ぐ量は30分ほどで飲みきれるくらいの量が良いといわれています。アルコール度数がきついと感じたら、グラスに氷を入れて蒸留酒を注ぐ飲み方「オン・ザ・ロックス」を試してみてはいかがでしょうか。
飲み始めはストレートのようで、氷が溶けるにつれ水割りのような飲み口に変化していきます。ウイスキーは他にも、水割りや、ソーダと割ってハイボールにしても楽しめます。
豆知識
ここからは関連する情報を豆知識としてご紹介します。
ウイスキーの名前の由来
ウイスキーという言葉は、ゲール語で「命の水」を意味する「uisce beatha」から派生しています。この言葉は英語に取り入れられ、「whisky」となりました。
ブレンデッドウイスキー
シングルモルトウイスキーだけでなく、複数の蒸留所からのモルトウイスキーを混ぜて作られる「ブレンデッドウイスキー」も人気です。この手法により、特定のフレーバープロファイルを作り出すことができます。
ピートの役割
スコッチウイスキーの中には、ピート(泥炭)を燃料に使って麦芽を乾燥させることで独特のスモーキーな風味を持つものがあります。アイラ島のウイスキーは特にこの特徴が強いです。
エンジェルズシェア
ウイスキーが樽で熟成される間、年々少しずつ蒸発して失われる量を「エンジェルズシェア(天使の分け前)」と呼びます。これは年間で約2%程度と言われています。
バーボンの法律:
アメリカでは、バーボンウイスキーの製造には厳しい法律が存在します。例えば、バーボンは新しいオーク樽で熟成されなければならず、他の種類のウイスキーでは再利用される樽を使うことが多いです。
ブランデーの名前の由来
ブランデーという言葉は、オランダ語の「brandewijn」(焼いたワイン)に由来します。これが英語に取り入れられ、「brandy」となりました。
アルマニャック:
コニャックと似たフランス産のブランデーに「アルマニャック」があります。アルマニャックはより古典的な製法で作られ、コニャックよりも多くのフレーバーを持つと言われています。
ブランデースナフター
ブランデーは通常、スナフターと呼ばれる専用のグラスで提供されます。このグラスは広いボウルと短いステムを持ち、手の温もりでブランデーを温めることで香りを引き立てるデザインです。
アイリッシュウイスキー
アイリッシュウイスキーは通常、3回蒸留されることで知られています。これにより、より滑らかで軽い風味が得られると言われています。
カクテルの歴史
ウイスキーやブランデーは、多くのクラシックカクテルのベースとして使われてきました。例えば、ウイスキーを使った「オールドファッションド」や、ブランデーを使った「サイドカー」が有名です。
ウイスキーのテイスティングノート
ウイスキーのテイスティングには、「香り」、「味」、「余韻」の三つの要素が重要です。それぞれのウイスキーが持つ独自のキャラクターを楽しむために、これらの要素を丁寧に感じ取ることが推奨されます。
ブランデーとフードペアリング
ブランデーは、その芳醇な香りと風味から、デザートやチーズと相性が良いです。特にチョコレートやブルーチーズと合わせると、お互いの風味を引き立て合います。
ウイスキーの地域性
ウイスキーは生産地によって特徴が大きく異なります。例えば、スコットランドのハイランド地方のウイスキーは豊かでフルボディ、一方でローランド地方のウイスキーは軽やかでフローラルな特徴を持つことが多いです。
ブランデーの製造過程
ブランデーの製造には、ワインの蒸留の後、最低でも2年間の熟成期間が必要です。この期間中に、ブランデーはオーク樽から風味と色を吸収します。
ウイスキーと健康
適度な量のウイスキーは、心血管系の健康に良いとされることがあります。ただし、適度な飲酒を心がけることが重要です。
おわりに
ウイスキーとブランデーの違いやそれぞれの特徴について、皆様に少しでも興味を持っていただけたでしょうか。これらの蒸留酒は、長い歴史と多様な製造過程を持つ、非常に奥深い世界です。私たちが知ることで、その風味や香りをより一層楽しむことができるのではないでしょうか。
また、ウイスキーやブランデーを楽しむ際には、その起源や文化、そして製造方法にも思いを馳せることで、一杯のグラスが持つ意味がさらに豊かになることでしょう。適度な飲酒を心がけながら、ぜひそれぞれの魅力を堪能してみてください。
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