中国を舞台にした歴史漫画『キングダム』は、日本で映画化もされるほど大人気の作品ですよね。
キングダムは、中国にも「逆輸入」されましたが、舞台となっている中国での反応は、どうなのでしょうか?
中国国内では、「魅力的な登場人物だ!」と良い反応がある一方で、「内容に違和感がある」といった悪い反応もあり、キングダムに対する賛否が割れています。
また、「秦の時代の話だから興味が湧かない」や「始皇帝のイメージが悪い」など、先入観による意見も目立ちました。
今回は、中国人から見たキングダムの魅力や批判的な意見などを紹介します。
批判的な意見の背景にも注目しながら、深掘りしていきますので、ぜひ最後までご覧ください♪
- キングダムに対する中国人の良い反応
- キングダムに対する中国人の悪い反応
- キングダムが中国で人気が出ない理由
キングダムに対する中国人の良い反応
『キングダム』は、中国では『王者天下』というタイトルで発売されています。
「中国を舞台にしている作品だからこそ、中国人のリアルな反応が気になる!」
「キングダムは、中国人にはどのように映っているの?」
このように、疑問に思われた方のために、良い反応と悪い反応に分けて、それぞれ詳しく紹介していきますね。
まずは、キングダムに対する中国人の良い反応から紹介していきます。
中国人の良い反応として挙がっていたのは、次のとおりです。
- オリジナル性のあるストーリーが面白い
- 魅力的な登場人物が良い
- 写実的な作画が良い など
それでは、キングダムの良い反応について、詳しく見ていきましょう!
オリジナル性のあるストーリーが面白い
春秋時代の書物は少なく、正確な情報がないものもあるため、足りない情報を作者が補って、ストーリーに深みを出しています。
忠実に描きつつ、オリジナル性もあることが高く評価されているポイントです。
魅力的な登場人物
キャラクターの一人ひとりが個性的で、印象に残りますよね。
魅力があるキャラクターと言えば、河了貂(かりょうてん)などが挙げられます。
河了貂(かりょうてん)は、見た目にインパクトがあり、軍師として飛信隊(ひしんたい)になくてはならない存在となりました。
また、楊端和(ようたんわ)は、実際には男性ですが、キングダムの中では、女性で描かれており、山の民の王としてかなりインパクトがありますよね。
写実的な作画が良い
キングダムは、写実的な画風が重厚な歴史をよく表現していると絶賛する人も。
たしかに、主役とメインストーリーが鮮明だと思います。
キングダムは、第1話から人を引きつける力があり、主人公への興味を引き立てる工夫がしてあるなぁと感じます。
漫画の世界観や人物のストーリー、関係図などが明解なところも良い点として挙げられます。
キングダムに対する中国人の良い反応は、日本人の良い反応と似ている印象を受けました。
キングダムに対する中国人の悪い反応
キングダムに対する中国人の良い反応を紹介しました。続いては、悪い反応について紹介していきます。
悪い反応には、次のようなことが挙げられました!
- 作画が悪い
- 内容に違和感がある
- 始皇帝の人気がない など
作画が悪い
「写実的な作画」が評価されている一方で、作画が悪いと批判する人も一定数いるようです。
最初にアニメで大ヒットしてから漫画を読み出すパターンと、漫画が面白かったからアニメを見るパターンなどがありますよね。
『ワンピース』や『ナルト』などは、海外でアニメが大ヒットしてから漫画が読まれるようになりました。
これを考えると、アニメの作画が重要になりますが、キングダムの初期の作画は、お世辞にも良いとは言えないと言う人も。
戦闘シーンの描写が良いものや絵がカッコいい・可愛いものじゃないと、海外で人気を出すのが難しいと思います。
友人にキングダムを勧めましたが、作画が嫌いで途中でリタイアしたようです…。
作画は、どの漫画でも賛否が分かれる部分ですよね!
内容に違和感がある
先ほど、良い反応の中で、オリジナル性のあるストーリーを挙げました。
しかし、ストーリーに関しては、かなり賛否両論あります。
日本の歴史やアニメが海外版で上映された際、内容に違和感を覚える事がありますよね。
もし、時代劇を外国人が演じていたら違和感があるかもしれません!
そして、日本の歴史を海外の人が漫画にしていたら、少し複雑な気持ちにもなります。
中国人の中には、自国の歴史を扱った海外作品に対する抵抗感が昔からあるようです。
これが『パリピ孔明』のようなぶっ飛んだ作品であれば、逆にウケますが、キングダムは概ね事実に基づいた物語。
春秋時代の書物が少なく、正確な情報がないものもあるからこそ、賛否両論あるのは仕方ないことかもしれません。
始皇帝の人気がない
中国史の中では、『三国志』が人気で、日本でも知名度が高いですよね。
書物が残っている関係だと思いますが、『三国志』には、有名な武将がたくさん登場します。
呂布(りょふ)や関羽(かんう)、諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)などは、歴史に詳しくなくても知っていますよね。
しかし、キングダムの舞台となっている春秋時代で有名な武将と言うと、始皇帝と王翦(おうせん)と李牧(りぼく)くらい。
主人公の信(しん)を知っている中国人は、ほとんどいないようです。
始皇帝は、中国では暴君としての悪いイメージが定着したため、他の歴史上の英雄に比べると、人気がないみたいです。
中国国内でのキングダムへの良い反応と悪い反応を紹介しましたが、いかがでしたか?
中国では、キングダムは、意外とマイナーであまり知られていないようです。
キングダムに対する中国人の悪い反応は、中国の歴史や背景が影響しているなぁと感じました。
始皇帝が行ったこと
始皇帝は、政治・経済で数々の改革を行い、為政者として専門家からは高く評価されていますよ。
- 歴史上初めて中華統一を果たした
- 中央集権体制を確立させた
- 統一通貨の導入を行った
- 交通インフラの整備を行った など
しかし、始皇帝が行った焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)は、国中の儒学の書物を焼き払い、多くの儒学者たちを生き埋めにした思想弾圧。
坑儒(こうじゅ)に関しては、儒者ではなく神仙の術を使う方士との説もありますが、狂気じみた思想統制として、後世に暴君としての印象を与えてしまいました。
日本でも、人気がない偉人は多くいますが、その代表として知られるのが初めて武家幕府を開いた源頼朝。弟の義経を死に追いやった人物として嫌う人が多いからです。
どんな歴史上の偉人でも一度ついた世間のイメージを払拭することは難しいですよね。
キングダムが中国で人気が出ない理由
日本でキングダムは、ワンピース超えとも言われるほど、人気があります。
日本の漫画やアニメは、中国で高く評価されているのに、なぜキングダムの人気はイマイチなの?
キングダムが中国で、それほど広まっていないのはなぜでしょうか?キングダムが中国で人気が出ない理由として挙げられるのは、次のとおり。
- 宣伝が足りない
- 歴史漫画を好きな中国人が少ない など
それでは、中国で人気が出ない理由について、背景も交えながら解説していきます。
宣伝が足りない
中国は国土が広く、人口も多いので、作品を広める流通宣伝が難しいようです。
漫画だけでなく、アニメも出ていますが、中国でアニメはあまり宣伝されていません。
歴史漫画を好きな中国人が少ない
中国では、歴史が好きな読者は元々、それほど多くないようです。
日本の読者は、壮大な背景を持つ歴史や戦争ものを好きな人が多い印象です。
大河ドラマや三国志が大人気で、他の国の王朝ドラマも多くの人が見ていますよね。
日本は、中国の古代研究もしっかりしているので、歴史をテーマにできる条件が整っているのです。
漫画でも多くの人物や物語は史実に近く、ストーリーもよくできていると思います。
しかし、中国では、歴史モノの漫画やアニメは馴染みがあるモノではなさそうです。
こういった背景がある中国だからこそ、キングダムの人気が出ないのも納得ですよね!
中国で人気が出るためには
中国で人気があるのは「すぐ読める」漫画です。
日本では、ワンピースなどの長編漫画が人気ですが、中国では逆なんですね!
中国で人気なのは『条漫(tiaoman)』という、1〜2分で読める漫画です。
『条漫(tiaoman)』は、四コマ漫画から発展してきた新しいスタイルで、四コマより長く、内容もより充実しているのが特徴ですよ。
また、中国の漫画ファンは、見た目が美しい絵が好きで、白黒より、カラーの方が受けが良いそうです。
中国で漫画を読む人
キングダムは、スケールの大きい作品なので、読者の年齢によっては、手に取りにくい場合もあるようです。
中国の主な漫画の読者は、12歳から16歳ぐらいの中学生だと言われています。
人数だけ見ると日本より多いですが、中国全体の人口比から考えると、限られたマーケットになりますよね。
日本の読者と比べれば、中国では漫画と接する時間がまだ短いようです。
日本ほど成熟し、細分化した市場も形成されていません。
また、中国では、国産漫画の読者の多くが女性のため、少女漫画は人気があります。
だからこそ、キングダムのように、戦闘シーンが多い漫画は好まれない傾向があります。
中国で漫画がヒットするためには、女性に好まれる必要があるんですね!
キングダムのあらすじ
キングダムを読んだことがない人のために、ざっくりとあらすじをお伝えしますね。
作品の舞台は、紀元前3世紀。中国の秦王朝・始皇帝の春秋戦国時代です。
500年もの長い間、争乱(世を乱す争い)が続いていたとされています。
キングダムは、秦王嬴政(しんおうえいせい)が主人公の信(しん)とともに「天下の大将軍」として、中華統一を目指す物語です。
キングダムは、『国内統一編』と『六国征覇編』に分類でき、次のようないくつかの編に分かれて物語が進んでいきます。
- 王弟反乱編
- 蛇甘平原(だかんへいげん)編
- 馬陽(ばよう)編
- 山陽(さんよう)編
- 合従軍(がっしょうぐん)編
- 著雍(ちょよう)編
- 毐国動乱(あいこくどうらん)編
- 黒羊(こくよう)編
- 鄴(ぎょう)編
- 秦趙大戦編
2023年7月時点
キングダムは、中国の物語なので、あらすじだけを見ると漢字がいっぱいで、なんだか難しそう…!と思ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、読み始めると止まらないほどハマってしまうという人が続出の人気漫画ですので、ぜひ一度ご覧ください!
作者の原泰久さんは、佐賀県出身。佐賀市立図書館などあらゆるところに漫画が置いてあるので、無料で読めちゃいます♪
まとめ
- キングダムに対する中国人の良い反応は、「ストーリーが面白い」「魅力的な登場人物が良い」「写実的な作画が良い」など。
- キングダムに対する中国人の悪い反応は、「作画が悪い」「内容に違和感がある」「始皇帝の人気がない」など。
- キングダムが中国で人気が出ない理由は、「宣伝が足りない」「歴史漫画を好きな中国人が少ない」など。
- キングダムは、中国の春秋時代が舞台。秦王嬴政(しんおうえいせい)が主人公の信(しん)とともに中華統一を目指す物語。
中国人から見たキングダムの反応や魅力、批判的な意見などを紹介しましたが、いかがでしたか?
中国で人気が出ない背景には、日本人と違って「歴史漫画を好きな人が少ない」というものもあり、文化の違いを感じました。
その一方で、キングダムは、中国の漫画マニアや日本の漫画好きから、高い評価を得ているので、今後中国でも人気が出ることを期待しています♪
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